公認心理師を目指す人のための、心理系大学院の志望校の選び方

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ナナラボ代表。公認心理師・臨床心理士。心理系大学院受験予備校として12年間、東京大学・大阪大学を含む国公立・私立大学院への合格者を指導してきました。研究計画書の添削指導歴は約10年で、受験生の経験や関心をもとに、テーマ設定から先行研究の整理、構成の組み立て、文章表現のブラッシュアップまで、一人ひとりに合わせて伴走するスタイルを大切にしています。

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公認心理師を目指して大学院進学を考え始めると、最初の大きな悩みが「志望校をどう選べばよいのか」という点だと思います。

「どこでもいいから資格が取れればいいのか」
「せっかくなら難関大学院を目指すべきなのか」
「社会人でも無理のない選び方はあるのか」

迷いが出てくるのは、ごく自然なことです。

志望校選びでまず大切なのは、自分のニーズをはっきりさせることです。
同じ「公認心理師を取りたい」という言葉の裏側にも、実はいろいろな動機があります。

たとえば、こんなパターンが考えられます。

  • 研究機関に進み、アカデミアの世界で研究者として活躍したい
  • 公認心理師の資格を取り、学校や医療などの現場で臨床家として働きたい
  • 将来的には開業して、心理カウンセラーとして活動したい

どの方向を目指すかによって、選ぶべき大学院は変わってきます。
以下、それぞれのケースごとに考え方の目安を書いてみます。

1.アカデミアで活躍したい人の場合

大学や研究機関で研究者としてキャリアを築きたい方は、研究者養成に力を入れている大学院を選ぶ必要があります。

多くの心理系大学院は、公認心理師や臨床心理士などの実務家・臨床家の養成を主な目的としており、研究者養成を前面に出していないところも少なくありません。
そのため、アカデミア志向の方は、研究者養成の実績がある大学院かどうかを慎重に確認しておくことが大切です。

日本の心理学分野では、東京大学をはじめとした旧帝国大学クラスの大学院は、研究者養成の面で強い実績があります。
もちろん、旧帝大以外にも優れた研究環境はありますが、博士後期課程への進学やポストの獲得まで視野に入れると、一定以上の研究実績のある大学院を目指すことが有利になるのは事実です。

研究者を目指すなら

研究者を目指すのであれば、「研究テーマが合うか」に加えて、
その大学院からどのような進路が開けているのかも、ぜひ確認してみてください。

2.臨床家・実務家として働きたい人の場合

「学校や医療現場で公認心理師として働きたい」「現場の臨床を早く経験したい」という方も多いと思います。

このタイプの方がよく陥りがちなのが、
「自分の研究テーマに完全に合致する指導教員を必死で探す」というパターンです。

もちろん、興味のある領域の教員がいるに越したことはありませんが、修士論文レベルであれば、多くの教員はある程度幅を持って指導ができます。
修士課程の段階では、研究テーマとのマッチングをあまりに重く考えすぎて、選択肢を狭めてしまわない方が良い場合もあります。

臨床家・実務家志向の方にとっては、

  • まずは公認心理師(あるいは臨床心理士)の資格を取得し、現場に入ること
  • 資格取得後、現場経験を積みながら専門性を深めていくこと

この二段階でキャリアを考えるのが現実的です。
資格を取るまでの数年間よりも、その後の実務期間の方がはるかに長くなります。

正直なところ、心理系大学院には入りやすい大学院と入りにくい大学院があります。
また、外部受験生を積極的に受け入れている大学院もあれば、学部生の内部推薦でほとんど定員が埋まってしまう大学院もあります。

臨床家・実務家志向の方にとって重要なのは、
「自分が現実的に合格を狙える大学院の中から、条件のよいところを選ぶ」という視点です。

内部推薦中心の大学院ばかりを受け続けていても、外部生として合格するのはなかなか難しいのが実情です。
このあたりは、情報収集が合否に直結する部分といえるでしょう。

3.将来的に開業カウンセラーを目指したい人の場合

「将来は自分のカウンセリングルームを持ちたい」という方も増えてきています。

この場合、公認心理師と臨床心理士を両方取得するルートもありますが、
状況によっては、あえて臨床心理士単独(いわゆるシングルホルダー)という選択肢も検討の価値があります。

開業カウンセリングルームの中には、後進の育成に熱心なところもあり、
公認心理師資格を持たない臨床心理士であっても、積極的に採用している例があります。

また、公認心理師養成課程を併設していない、臨床心理士養成に特化した大学院もいくつか存在します。
中にはいわゆる「有名大学」を含むところもあり、公認心理師課程を持つ大学院に比べて相対的に入りやすいケースもあります。

開業を見据える場合は、

  • どのようなクライエント層を想定しているか
  • どの地域で開業したいか
  • どのようなスーパービジョン・研修の機会にアクセスしやすいか

といった点も含めて、大学院選びを考えていく必要があります。

4.まずは「自分のニーズ」を言葉にしてみる

ここまで見てきたように、「公認心理師になりたい」という一言の裏側には、
アカデミア志向/臨床現場志向/開業志向など、さまざまな方向性があります。

志望校選びの前に、まずは次のような問いを、自分自身に投げかけてみてください。

  • 自分は「どのような場所」で、どのような人たちと関わりたいのか
  • 5年後・10年後の自分を、どのようなイメージで思い描いているのか
  • そのために、大学院で特に身につけたい力は何なのか

このあたりが少しでも言葉になってくると、
「何となく有名だから」「何となく入りやすそうだから」ではない、自分なりの基準で志望校を選べるようになっていきます。

5.志望校選びに迷ったら

公認心理師を目指すルートは年々複雑になってきており、
内部進学・外部受験・社会人入試など、受験生を取り巻く状況も変化しています。

ひとりで調べていると、どうしても情報が断片的になりがちです。
もし、

  • 自分のニーズに合った志望校が分からない
  • 外部受験生としてどこを狙うべきか悩んでいる
  • 社会人として現実的な選択肢を整理したい

といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

志望校選びに困ったら、いつでもナナラボにご相談ください。

公認心理師を目指すみなさんが、自分に合った大学院と出会えるよう、お手伝いできればと思っています。

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