現役心理職が公認心理師の仕事や臨床心理士との違いを解説

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公認心理師・臨床心理士。
大学院卒業後は病院と学校で非常勤の掛け持ち。現在学校でスクールカウンセラーとして週5日働いている。すべてバラバラの学校なのでかなり大変。研究計画書添削を初めて10年目。そろそろ学科に関してもかゆいところに手が届くサービスを考え出したい。

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1. 公認心理師とは?

公認心理師は、心理職として初めて国家資格として認定された職種です。2017年に施行された「公認心理師法」に基づき、心理学の専門知識を活用して、さまざまな人々の心の問題に対応する専門家として位置づけられています。本記事では、公認心理師とはどのような資格なのか、どのような背景で求められるようになったのか、そして「臨床心理士」との違いについて詳しく解説していきます。

心理職の国家資格としての公認心理師

認心理師は、心理学に基づく知識と技術を活かして、心のケアが必要な人々をサポートするために誕生した資格です。これまで心理職には国家資格が存在せず、「臨床心理士」などの民間資格が中心となっていました。しかし、現代社会において心理的な支援を求める声が高まる中で、心理職に一定の基準を設ける必要性が生まれました。その結果、国が認定する資格として「公認心理師」が設立されるに至りました。

公認心理師の職責は、法律上以下のように定義されています。

第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

出典:公認心理師法第二条

法律用語は何やら難しいですね。簡単に言うと次のような感じです。

これはかみ砕いた言い方ですが、もう少し専門職っぽく言うと次のような言い方になります。

1,アセスメント

2,カウンセリング(面接)

3,コンサルテーション

4は少し言い換えが難しいですね。

公認心理師が求められる理由:現代社会における心理支援の重要性

近年、社会は急速に変化し、人々の生活環境が大きく変わっています。その中で、心理的な問題を抱える人々が増加しており、公認心理師のような専門家による支援がますます重要視されています。

医療が進み、基本的には投薬ですべてが治ってしまうような錯覚に陥ることもありますが、投薬では改善しない人の悩みや困難というものはあるものです。

これらの問題に対して、公認心理師は心理的なアセスメントや相談、他職種との連携を通じて、適切な支援を提供する役割を担っています。また、公認心理師は医療機関や教育現場だけでなく、企業のメンタルヘルス対策や地域コミュニティでの心理支援活動にも携わることができるため、幅広い分野で活躍が期待されています。

  • 高齢化社会:認知症や介護うつなど、高齢者や関係者に対する心理支援。
  • 職場のストレス問題:過重労働やハラスメントなどに起因するメンタルヘルス不全への介入。
  • 教育現場の問題:子どものいじめ、不登校、発達障害等に対する心理支援。

公認心理師と臨床心理士の違い

心理職としての資格には「公認心理師」のほかに「臨床心理士」という資格もあります。この2つは混同されることが多いですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

法的な位置づけ
公認心理師は国家資格であるため、法律に基づいた業務範囲が明確に定められています。臨床心理士は法的な規定はありませんが、「臨床心理士資格審査規程」や「臨床心理士倫理綱領」の中でその職務が定められています。

資格の種類と認定機関
公認心理師は国家資格であり、試験に合格して登録を行うことで付与されます。一方、臨床心理士は民間資格で、公認心理師と同様に試験を受けて合格・登録しなくてはなりません。

公認心理師は国家資格ということもあり、医療機関や福祉施設などの配置基準(配置していないと運営できない)となっていますが、臨床心理士はそのようなものはありません。ただ、スクールカウンセラーは臨床心理士が明記されていますので、公認心理師を持っていなくともなることができます。

受験資格
公認心理師は、カリキュラムが整備された心理学部を卒業することが必須です。そのうえで、受験資格が与えられるためには実務経験として認定される職場で働くか、カリキュラムが整備された大学院を修了する必要があります。

一方で、臨床心理士は指定校に認定された大学院を修了すればよいだけですので、大学の学部は問われません。専門学校卒であっても高度専門士であれば大学院に入って終了すれば受験資格が与えられます。

まとめ

公認心理師は、日本初の心理職における国家資格として、心のケアに関わる多様な現場で活躍しています。現代社会が抱えるさまざまな課題に対応するため、専門的な知識と技術を備えた公認心理師はこれからの時代にますます必要とされる存在です。また、臨床心理士との違いを理解し、自分のキャリアプランに合った資格を目指すことも重要です。

公認心理師の資格取得を目指すことは、困難な道のりではありますが、その先には多くの人々を支えるやりがいや社会的な意義が待っています。この資格に興味を持つ方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

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